今回は、システム開発部が現在取り組んだ「チーム体制の見直し」と「他部署との連携強化」についてご紹介します。
前提
私たちは大きさの異なるプロダクトや担当業務を合計で約20ほどを開発・運用しています。そのほとんどがいわゆる Web+RDBMS で構成されるアプリケーションですが一部は Node.JS on AWS Lambda だったり Google Apps Script だったりします。
旧体制における課題:職能別チームの状況
これまでのシステム開発部は、PHP、UI、インフラといった職能別の専門チームで構成されていました。各チームは、それぞれの専門分野を担当する数名のメンバーで構成されていました。この体制には、いくつかの課題がありました。
課題例1: チーム間での業務量のばらつき
チームによって担当するタスクの質と量にばらつきが見られました。これにより、メンバー個々の価値提供の機会に偏りが生じ、必ずしも健全とは言えない状況でした。
課題例2: プロダクトオーナーシップの不明確さ
特定のプロダクトに対し、複数の職能チームのメンバーがその都度対応する形となっていました。そのため、各プロダクトを主体的に担当するメンバーやチームが明確ではなく、結果として責任の所在が曖昧になる傾向が見られました。
新体制:プロダクトチーム制への移行
これらの課題に対応するため、私たちは組織体制を「プロダクトチーム制」へと変更しました。
プロダクトチームにはリーダーが置かれ、会社の役職上のマネージャがその職責を担います。(ちなみに各チーム名はシステム開発部の業務で欠かせない Linux のイメージキャラクタであるペンギンの種別から着想を得たものです)
各プロダクトチームには、担当するプロダクトや業務範囲が設定されています。
さらに、各プロダクトや業務範囲に対し、一人の PdM(プロダクトマネージャ) と一人以上のメンバーを明確に割り当てます。
新体制への移行により、各メンバーの権限と責任がより明確になりました。これにより、各プロダクトにおけるメンバーのオーナーシップ意識の醸成にも寄与すると考えています。一方で、従来の職能チーム体制では求められなかった、より幅広いスキルセットが各メンバーに求められるようになっています。これは、メンバー一人ひとりが専門分野を超えて成長していくことを前提としており、個人のスキル向上とキャリア形成の一助となると考えています。
新体制への過程:部門内での検討
今回のプロダクトチーム制への移行は、慎重かつ綿密な検討を重ねて行われました。私たちは、どのようなチーム構成が適切か、また各プロダクトをどのチームが担当すべきかについて、適宜さまざまな座組で複数回にわたり検討を行いました。
最終段階ではメンバー全員による複数回の協議を実施し、結論を出すための最終協議はリモートワークメンバーも含め、全員が出社して対面で意見を交換しました。忌憚のない、お互いを尊重するコミュニケーションを通じて、結論を導き出しました。
検討過程でのコミュニケーションは、「変更されたチーム体制」という成果物以上に、メンバーの相互理解を深め、関係を醸成するという価値を提供してくれるものでした。
この変革は、部長である私から部のメンバーに提起したものですが、各メンバーの建設的で主体的な姿勢があったことで実現できたものと認識しています。大変感謝しています!
ユーザー部門との連携強化:システム開発における共創
私たちが開発するプロダクトやタスクの大部分は、他部署の業務効率化やサポートを目的としています。そこで、ユーザー部門の従業員にもより明確なオーナーシップを持ってもらえるよう、新たな連携の枠組みを構築し始めています。
その端緒として、私からシステム開発におけるユーザー部門の従業員の関与の重要性を共有し、各プロダクトに一人の PO(プロダクトオーナー) の設定を依頼しました。
システム開発部の PdM とユーザー部門の PO が一般的に呼称される役割に限定せず、それぞれの役割を適切に協議し設定することで、プロダクトがユーザーの課題を的確に解決し、さらに効果的に利用されることを目指します。
今後の展望
プロダクトチーム制への移行とユーザー部門との連携強化は、システム開発部がより柔軟で、かつ責任を持った組織へと発展するための重要な一歩となります。この変革を通じて、私たちは今後も事業が高品質なサービスを提供するためのシステムを支えていきます!